「すみません、これどうやるんでしたっけ」。一日に何度も、この一言とともに手を止める方は少なくないと思います。詳しい人のところに質問が集まり、そのたびに作業を中断して答える。一件ずつは数分でも、積み重なると相当な時間になり、自分の仕事はなかなか進みません。聞く側も、忙しそうな相手に声をかけるのは気が引ける。どちらにとっても、気持ちのよい状態ではありません。
この「同じことを何度も聞かれる」という負担は、マニュアルが読まれないという悩みの裏側でもあります。今回は、質問される側の視点から、この繰り返しをどう軽くしていくかを考えていきたいと思います。
質問が特定の人に集中する
質問が集まる相手は、たいてい決まっています。その業務にいちばん詳しい人、長く担当してきた人、あるいは情シスやバックオフィスのように横断的に頼られる部署です。頼りにされること自体は悪いことではありませんが、問い合わせが一人に集まりすぎると、いくつもの問題が生まれます。
まず、その人の時間が細切れに奪われます。集中して進めたい仕事が、数分おきの質問で何度も中断されます。次に、その人が休みや不在のときに、業務が止まってしまいます。答えを知っているのがその人だけなので、いなくなると誰も対応できません。これは、属人化そのものです。
質問に答えられる人が一人しかいない状態は、その人が頼れる証であると同時に、その人がボトルネックになっているということでもあります。
さらにやっかいなのは、同じ質問が何度も繰り返される点です。一度答えても、それは口頭で消えてしまい、次に同じ場面になった別の人が、また同じことを聞きにきます。答えが個人の記憶の中にしか残らないため、いつまでも問い合わせが減りません。
「その都度答える」がなぜ減らないのか
問い合わせを減らそうとして、「マニュアルを見てから聞いてください」と呼びかける取り組みはよくあります。けれども、これがなかなかうまくいきません。理由は、聞く側にとって「人に聞く」のがいちばん手っ取り早いからです。
マニュアルを探して開いて、目当ての箇所を見つけて読む、という手間に比べれば、詳しい人に一言聞くほうがずっと速い。だから、マニュアルが整っていても、人はつい聞いてしまいます。呼びかけや心がけで解決しようとするかぎり、この力学は変わりません。
「聞くな」ではなく「聞き先を変える」: 問い合わせを減らす鍵は、質問すること自体を我慢させるのではなく、聞く相手を人からAIに置き換えることです。人に聞くのと同じ手軽さで、しかも待たせずに答えが返るなら、聞く側も自然とそちらを使うようになります。
必要なのは、質問という行為をなくすことではなく、その質問を人ではないところで受け止め、答えを返せるようにすることだと私たちは考えています。
答えをマニュアルに預け、AIに一次対応を任せる
そこで、二つを組み合わせます。ひとつは、個人の頭の中にある答えを、マニュアルという形に残しておくこと。もうひとつは、そのマニュアルに対してAIアシスタントが質問を受け、答えを返せるようにすることです。
こうすると、聞く側は人に声をかけるのと同じ手軽さで、AIに質問できます。しかもAIは待たせず、マニュアルの中身をもとに答えを返します。人に聞くより速くて気兼ねがいらないなら、聞き先は自然とAIに移っていきます。詳しい人は、細切れの中断から解放されます。
大切なのは、これが詳しい人を不要にする話ではない、という点です。よくある質問の大半をAIが引き取ることで、その人は本当に判断が必要な、新しく難しい相談にだけ時間を使えるようになります。
Flowbaseでできること
Flowbaseは、この「答えを残す」と「AIが答える」をひとつながりにしたツールです。
答えを残す側では、画面録画や動画をアップロードするだけで、AIが作業の工程を区切り、手順とスクリーンショット、説明文を自動で作成します。詳しい人が一から文章を書き起こす必要がないので、頭の中にあるやり方を、負担少なくマニュアルとして残せます。
答える側では、貯まったマニュアルにチャットで質問できます。担当者はふだんの言葉で「この場合はどうするか」と尋ねるだけで、AIがマニュアルの中身まで読んで、関係する箇所を見つけて答えます。どのマニュアルを根拠にした答えかがリンクで示されるため、内容を確かめながら使えます。
同じ質問が繰り返し飛んでくる状態から、AIが一次対応を引き取る状態へ。質問が特定の人に集中する構図がゆるみ、ナレッジが個人の記憶ではなく、組織の資産として使われるようになっていきます。
よくある質問
QAIが間違った答えを返すことはありませんか?
AIはマニュアルの中身をもとに答え、どのマニュアルを根拠にしたかをリンクで示します。根拠のマニュアルを確認しながら使えるため、内容を確かめられます。もとになるマニュアルを整えておくほど、答えの確かさも高まります。
Qマニュアルがまだ整っていなくても始められますか?
まずは問い合わせの多い業務から、録画してマニュアルにしていくのがおすすめです。よく聞かれる内容から答えを残していくと、その分だけAIが引き取れる質問が増え、効果を実感しやすくなります。
Q詳しい人の仕事はなくなってしまいますか?
いいえ。よくある質問の大半をAIが引き取ることで、詳しい人は判断の要る新しい相談に集中できるようになります。単純な繰り返し対応から解放される、という位置づけです。
Q聞く側は、特別な使い方を覚える必要がありますか?
ふだんの言葉でそのまま質問できます。人に聞くのと同じ感覚で、困っている内容を投げかけるだけです。マニュアルの置き場所やタイトルを覚えておく必要はありません。