「コールセンターは覚えることが多く、人の入れ替わりも起きやすいので、新人が独り立ちするまでに時間がかかる」というご相談を、運営の担当者からよくいただきます。応対の言い回し、システムの操作、例外時の対応と、覚える範囲が広いうえに、教える先輩の負担も大きい、というお悩みです。
新人の立ち上がりには、整備不足が影を落とします。Flowbaseが2026年3月に実施した自社調査(非作成者300名)では、整備が足りないことで「業務の進め方が分からず人に聞く必要があった」人が20.0%、「慣れるまで時間がかかった」人が14.3%でした。出典は業務マニュアル作成実態調査2026です。
私たちは、応対の流れやシステム操作のように、見れば分かることは動画で先に渡しておくと、教育の負担と立ち上がりの時間を同時に減らせると考えています。本記事では、コールセンターの業務を動画で手順書にして、新人が早く立ち上がる仕組みをつくる進め方を整理します。
コールセンターの教育でつまずきやすいこと
応対業務の教育には、いくつか共通したつまずきがあります。
一つは、覚える範囲の広さです。基本の応対だけでなく、複数のシステムの操作、商品やサービスの知識、例外時の手順までが重なります。最初にまとめて説明されても、新人はすべてを一度には覚えきれません。
もう一つは、教える人による差です。隣に座って教える形(OJT)が中心になりがちで、教える先輩によって説明の仕方や強調する点が変わります。同じ業務でも教わる内容がそろわないと、応対の品質にばらつきが出ます。
加えて、知りたいときにすぐ確認できないという問題もあります。分厚いマニュアルのどこに書いてあるか探しているうちに、応対が止まってしまう、ということが起こります。
覚えることが多い現場ほど、一度に教えるより、必要なときに必要な箇所を見られる状態をつくるほうが、定着しやすいと私たちは考えています。
動画で手順書にすると変わること
応対の流れやシステム操作を録画して手順書に整えると、教育の進め方が変わります。
新人は、基本の応対やシステム操作を動画で先に見て、全体像をつかんでから現場に入れます。先輩は、毎回ゼロから説明する代わりに、つまずいた箇所の補足や、判断の難しいところに時間を使えるようになります。
教える内容がそろう点も大きな変化です。動画という共通の基準があれば、誰が教えても同じ手順が伝わります。応対品質のばらつきを抑えることにつながります。
探すから聞くへ: 動画手順書をためていくと、知りたいことを質問の形で探せる土台になります。分厚いマニュアルを開く代わりに、必要な箇所にすぐたどり着ける状態を目指せます。
作り方のステップ
身構えなくても始められます。基本の流れは次のとおりです。
- 新人がつまずきやすい応対やシステム操作を一つ選ぶ
- ふだんの応対や画面操作を録画する(個人情報の扱いには配慮する)
- AIに解析させ、手順のまとまりごとに区切った下書きを作る
- 実際の言い回しや、言ってはいけない表現などの注意点を補う
- 例外時の分岐(こういうときはこうする)を書き足す
- 新人に見てもらい、分かりにくい箇所を直す
よくある問い合わせの上位から手順書にしていくと、効果を実感しやすくなります。
運用するときのポイント
コールセンターならではの、運用で気をつけたい点があります。
応対の録画や画面のキャプチャには、お客さまの個人情報が含まれることがあります。録画する範囲や、共有してよい相手をあらかじめ決めておき、見られる人を権限で絞ることが大切です。
内容の更新も頻繁に起こります。商品やサービス、システムが変われば手順も変わります。誰がいつ見直すのかを決めておくと、古い手順のまま案内してしまうことを防げます。シフト制で勤務時間がそろわない場合は、各自の都合のよい時間に見られる渡し方にしておくと、教育が回りやすくなります。
Flowbaseでの考え方
私たちが提供しているFlowbaseは、応対や画面操作の様子を録画すると、AIが内容を解析して手順書の形に整える仕組みです。覚える範囲が広く、更新も多いコールセンターのような現場でこそ、撮るだけで下書きができ、必要なときに見返せる手軽さが活きると考えています。
ツールで作ること自体が目的ではありません。新人が早く立ち上がり、先輩の負担が軽くなり、応対の品質がそろっていく。その状態に近づけるための土台として、動画の手順書を少しずつ整え、続けて更新していくことをおすすめします。
なお、ここでご紹介した進め方が、すべての業務にそのまま当てはまるとは限りません。私たちもあらゆる現場で検証できているわけではないため、お客さまのご相談をいただきながら、プロダクトやAIの精度を一緒に調整し、現場に合う形を探していきたいと考えています。まずは小さく試して、合うかどうかを一緒に確かめさせてください。
よくある質問
Qお客さまの個人情報が映ってしまうのが心配です。
録画する範囲を、手順として必要な操作画面に絞ることをおすすめします。個人情報が含まれる部分は録画の対象から外したり、見せたくない箇所を画面上で隠したりすることもできます。共有できる相手を権限で限定するなど、運用のルールを先に決めておくと安心です。
Q応対の言い回しまで手順書にできますか?
基本の流れは動画で見せたうえで、実際の言い回しや避けるべき表現を、注意点として書き足すのがおすすめです。映像で全体像をつかみ、言葉の細部は注意書きで補うことで、応対の品質をそろえやすくなります。
Qシフト制で全員に同時に教えるのが難しいです。
動画の手順書は、各自の都合のよい時間に見てもらえます。勤務時間がそろわなくても、共通の基準を全員に届けられるため、シフト制の現場と相性がよい進め方だと考えています。