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「どう直したか」より「なぜそう判断したか」を残す:異常対応を動画で残す現場ナレッジ

金属加工の現場で聞いたのは、異常が起きたとき本当に困るのは処置そのものより「どんな状態だったから、そう判断したか」が残らないことでした。観察した状態と判断の根拠を動画で残し、似て非なる場面にも応用できる現場ナレッジの作り方を整理します。

Flowbase編集部2026年6月25日8分
ワークフロー
「なぜ」を残すと、現場は強くなる

「どう直したか」より「なぜそう判断したか」を残す

異常対応を動画で残す現場ナレッジ

スポット溶接などの設備加工を行う、ある金属加工の現場で、作業標準化と新人教育を担う担当の方からこんな話を聞きました。設備の異常が起きたとき、本当に困るのは「どんな処置をしたか」ではないのだそうです。困るのは、「どういう状態だったから、その処置をしたのか」という、状態と判断のプロセスが記録に残らないこと。処置の結果だけは残っても、なぜその判断にたどり着いたのかが抜け落ちてしまう、という悩みでした。

この読者像は、複数の工場で異なる設備を扱い、現場の作業を標準化しながら新人を育てている方です。設備が止まった、いつもと違う音がする、表示がおかしい。こうした場面で頼りになるのは、過去に同じような状況を切り抜けた人の経験ですが、その経験はたいてい本人の頭の中にしか残っていません。記録として残るのは「リセットして復旧」「部品を交換」といった処置の結果だけで、なぜその処置にたどり着いたのかが抜け落ちてしまいます。

先にお伝えしたいことを書きます。私たちは、異常対応で残すべきものは「直し方」そのものよりも、「どういう状態だったから、そう判断したか」だと考えています。観察した状態と判断の根拠が残っていれば、まったく同じではない場面にも応用できます。本記事では、非定常作業の知見をどう残し、次に活かすかを、実際の記録のしかたに沿って整理します。

「直し方」だけでは再現できない

異常が起きたときの記録は、結果に寄りがちです。何をしたか、どの部品を替えたか、どのボタンを押したか。これらは手順としては正しいのですが、次に似た場面が来たときに、そのまま当てはめてよいかどうかが判断できません。

なぜなら、同じ症状に見えても原因が違うことがあるからです。前回はこの処置で直ったとしても、今回は状態が少し違っていて、同じ処置がかえって事態を悪くすることもあります。トラブルシューティングで本当に必要なのは、目の前の状態を見極めて、いくつかの可能性の中から「これだろう」と絞り込む力です。

設備の異常で本当に困るのは、どう処置したかではなく、どういう状態だったから、そう判断したのかが残らないことなんです。

経験のある人は、この絞り込みを無意識のうちに行っています。表示の出方、音の変化、前後の操作。複数の手がかりを照らし合わせて、「たぶんここだ」と当たりを付けています。この照らし合わせのプロセスこそが価値の中心なのですが、結果だけを書いた手順書には、それがまるごと抜け落ちてしまいます。

残すべきは「状態」と「判断の根拠」

では、何を残せばよいのでしょうか。私たちが大切だと考えているのは、次の2つです。観察した「状態」と、その状態からどう考えて処置を選んだかという「判断の根拠」です。

状態とは、異常に気づいた時点で何がどうなっていたか、です。どんな表示が出ていたか、どんな音がしていたか、いつもと何が違ったか。判断の根拠とは、その状態を見てなぜその処置を選んだか、です。「この表示が出ているときは、まずここを疑う」「前回と症状は似ているが、この点が違うので別の原因だと考えた」といった、考えの道筋にあたります。

この2つがそろっていると、次に対応する人は、自分が今直面している状態と記録の状態を見比べられます。完全に一致していなくても、「この部分は似ているが、ここが違う」と判断でき、そこから先を自分で考えられます。これが、似て非なる場面に応用できるということです。

残し方のコツ: 「何をしたか」を書く前に、「どんな状態だったか」と「だから、どう考えたか」を先に残します。処置はその結論にすぎないと捉えると、記録の中心が判断の根拠側に移ります。

ただし、この状態と根拠を文章だけで書き残すのは、想像以上に大変です。慌ただしい対応の最中に、表示の様子や音の変化を言葉に起こすのは難しく、後から書こうとすると細部が抜けます。ここに、文章中心の記録の限界があります。

異常対応を動画で残す(その場で記録)

そこで有効なのが、対応している様子を画面録画や動画で残しておくことです。異常時の表示や操作の流れをそのまま録っておけば、後から言葉に起こす負担が減りますし、文章では伝えきれない「状態」がそのまま記録に残ります。異常検知の瞬間や状況をまず動画でおさえ、状態から対応の判断根拠までを含めて記録・共有したい、という現場の声にもこたえられます。

Flowbaseでは、録画した動画を取り込むと、AIが手順ごとに区切り、スクリーンショットと説明文のそろった手順書を自動で生成します。異常対応の流れをひととおり録画しておけば、どの画面で何が起きていて、そこからどう操作したかが、画像と文章のそろった形で残ります。生成された手順は1つずつ編集できますので、説明文に「このときの判断の根拠」を書き足していけます。

具体的には、自動生成された説明文に、観察した状態(どんな表示だったか)と、そこから何を疑ってその処置を選んだかという考えの道筋を、手順ごとに補っていきます。録画が「状態」を、書き足した説明が「判断の根拠」を担う、という分担です。撮り直したい箇所があれば、その手順だけ録り直して差し替えられますので、後から記録を整えることもできます。

録画が状態を、書き足す説明が判断の根拠を担う。この組み合わせにすると、慌ただしい現場でも、後から振り返ったときにも、無理なく両方を残せます。文章だけで全部を書こうとするより、担当者の負担が小さくなります。

蓄積を次に活かす

こうして残した異常対応の記録は、ためておくだけでは活きません。次に似た場面が来たときに、すぐに引き出せることが大切です。せっかく状態と判断の根拠を残しても、必要なときに見つけられなければ、結局は経験者の記憶に頼ることになります。

Flowbaseには、作成した手順書をチャットで検索したり、質問したりする機能があります。「この表示が出たときの対応」といった聞き方で、過去に残した記録の中から関連しそうなものを探せます。対応の最中に、似た状態の記録を引き当てられれば、過去の判断の根拠を参考にしながら、今の状況との違いを見極められます。

記録を更新していく場面では、バージョン管理が役に立ちます。一度作った手順書を、新しい知見が出てきたときに改訂していけますので、「前はこう考えていたが、その後こういう例もあった」という積み重ねを残せます。チームでの勉強会や引き継ぎに使いたいときは、手順書をPPTX形式で書き出して資料として配ることもできます。

異常対応の記録は、ためること自体が目的ではありません。次に似た状態に出会ったとき、過去の判断の根拠をすぐ引き出せて、今の状況との違いを見極められること。そこまでそろって、はじめて現場のナレッジになります。

異常対応のような非定常作業の知見は、放っておくと特定の人の頭の中、つまり暗黙知のまま埋もれてしまいます。状態と判断の根拠を動画で残し、見つけやすい形でためていく。この地道な積み重ねが、属人化をやわらげ、現場のナレッジマネジメントを前に進めていくのだと、私たちは考えています。

よくある質問

Q処置の手順だけでなく、判断の根拠まで残すのは手間がかかりませんか?

A

すべてを文章で書こうとすると、たしかに負担が大きくなります。そこで、対応の様子を画面録画や動画で残し、AIに手順書の下地を作らせたうえで、判断の根拠にあたる部分だけを手順ごとに書き足す進め方をおすすめしています。状態は録画が担いますので、書き足すのは考えの道筋にしぼれます。

Q同じ症状に見える異常でも、原因が違うことがあります。記録は役に立ちますか?

A

むしろ、そういう場面でこそ役に立ちます。状態と判断の根拠が残っていれば、過去の記録と今の状態を見比べて、「ここは似ているが、ここが違う」と差を見極められます。直し方だけの記録では、症状が一致しないと使えませんが、根拠まで残しておくと、似て非なる場面にも応用できます。

Q残した記録を、次の対応のときにすぐ取り出せますか?

A

Flowbaseには、作成した手順書をチャットで検索したり質問したりする機能があります。「この表示が出たときの対応」といった聞き方で、関連しそうな記録を探せます。対応の最中に似た状態の記録を引き当てられれば、過去の判断の根拠を参考にしながら進められます。

#異常対応#暗黙知#技能伝承
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