「介護記録ソフトの入力ルールが、人によってばらついてしまう」「国保連への請求は、あの職員しかやり方が分からない」というご相談を、介護施設や事業所の管理者の方からよくいただきます。介護の現場には、身体介助だけでなく、記録ソフトの入力、国保連請求、ケアプランや帳票の作成、勤怠やシフトの管理、申し送りの記録入力といった、パソコンやタブレットの画面上で進める業務が数多くあります。これらの操作手順は、担当者の経験や慣れに頼りがちで、口頭やメモで引き継がれることが多いものです。
私たちは、こうした画面上の業務ほど、文章で手順書を作りこむよりも、実際の操作画面を録画して残すほうが、伝わりやすく続けやすいと考えています。どのボタンを押し、どの順で入力するのかを、画面そのもので示せるからです。本記事では、介護の記録システムやPC業務の手順を画面録画で引き継ぎ、担当が変わっても事務が止まらない仕組みをつくる進め方を整理します。なお、身体に直接ふれる介助そのものは録画の対象ではなく、ここでは画面上で完結する操作手順の標準化を扱います。
介護のPC・システム業務でつまずきやすいこと
画面上の業務の引き継ぎには、いくつか共通したつまずきがあります。
一つは、記録ソフトの入力ルールが人によって変わることです。同じ記録でも、どの項目にどう書くかが担当者ごとに違うと、後から読む人が解釈に迷い、記録の質にばらつきが出ます。
もう一つは、請求や帳票づくりのように、特定の人しかできない操作が残ることです。国保連への請求や加算の入力は手順が細かく、慣れた職員に集中しがちです。「あの人しか分からない操作」が積み重なると、その人が休んだり辞めたりしたときに、事務が止まってしまいます。
そして、新しく入った職員が、操作に慣れるまで時間がかかることです。画面の使い方は言葉で説明しにくく、隣について教える先輩の負担も小さくありません。
身体介助の知識と同じくらい、記録ソフトや請求の操作も、その人の中にだけ残りやすいもの。画面の操作手順を後からたどれる記録に変えていくことが、人の入れ替わりに強い事務体制づくりの第一歩だと私たちは考えています。
なぜ操作手順は引き継がれないのか
画面操作の手順が口頭や個人の慣れに頼っていると、その場では回っても、担当が変わると弱さが出ます。記録に残っていない操作は、本人が抜けると一緒に失われてしまうからです。
このことは、業種を越えた調査結果にもあらわれています。Flowbaseが2026年3月に実施した自社調査(スクリーニング6,000名・本調査600名)では、退職や異動でノウハウが引き継がれず困った経験がある人は32.7%にのぼり、「特定の担当者しか知らない業務・手順がある」と答えた人は58.0%、暗黙知や属人的な業務が「多い」と感じる職場は74.7%でした。出典は業務マニュアル作成実態調査2026です。
加えて、同じ調査では、医療・福祉の分野で手順書を「自分で作成・更新する」人は11.4%と、全業種のなかでも低い水準でした。日々のケアや記録に追われ、操作手順まで文章で残す手間に手が回りにくい現場の状況がうかがえます。属人化と人の入れ替わりが重なりやすい分野だからこそ、操作の手順を記録に残しておく仕組みが必要だと、私たちは考えています。
画面録画で操作手順を残す進め方
文章での手順書づくりが負担になりやすい現場でも、画面録画であれば日々の業務の延長で始められます。あくまで一例ですが、次のような流れが考えられます。
まず、止まると困る操作や、特定の人しかできない操作から、ふだんどおりに画面を録画します。記録ソフトの入力、国保連請求の流れ、ケアプランや帳票の作成、勤怠やシフトの登録など、画面の中で完結する手順が向いています。
次に、録画した画面をAIに解析させ、操作のまとまりごとに区切った下書きを作ります。一から文章を書く代わりに、できあがった下書きを確認して整えるところから始められます。
最後に、その手順を関係者がたどれる場所に整理し、見られる人を権限で絞って共有します。新しく入った職員や、別の事業所の担当者が、必要なときに見返せる状態にしておくことが大切です。
優先順位をつけて残す: すべてを一度に残そうとすると続きません。止まると困る操作、自分しかできない操作から先に録画するのがおすすめです。限られた時間を、影響の大きいところに集中させます。
個人情報への配慮
介護の記録システムの画面には、利用者さんの氏名や心身の状態など、個人情報が表示されます。画面録画を残すときは、こうした情報の扱いに十分な注意が欠かせません。
Flowbaseには、スクリーンショットに映り込んだ個人情報を自動で検出してマスクする機能があります。ただし検出の精度には限界があるため、共有する前に必ず人の目で最終確認を行ってください。施設の個人情報の取り扱い方針や関係する法令に沿って進めること、見られる人を権限で絞ることもあわせて大切です。
なお、録画は職員本人が、ふだんの自分の操作をそのまま記録するものです。誰かに撮影されるのではなく、自分の作業の記録を残して引き継ぎや教育に役立てる、という位置づけです。
Flowbaseでの考え方
私たちが提供しているFlowbaseは、パソコンの画面を録画すると、AIが内容を解析して手順書の下書きを作る仕組みです。文章で手順書を作る時間がとりにくい介護の現場でも、いつもの画面操作を録るだけで下書きができる手軽さが活きると考えています。これはあくまで一例で、どのくらい役に立つかは、業務の内容や運用の仕方によって変わります。
大切なのは、その場をしのぐだけでなく、ふだんから操作手順を記録しておく習慣に変えていくことです。記録ソフトや請求の手順が残っていれば、職員の入れ替わりや急な欠員があっても、事務が慌てずにすみます。特定の人に頼りきりの状態を、少しずつ確かめられる記録に置き換えていく。その積み重ねが、担当が変わっても止まらない事務体制につながる、と私たちは考えています。
なお、ここでご紹介した進め方が、すべての施設や業務にそのまま当てはまるとは限りません。私たちもあらゆる現場で検証できているわけではないため、お客さまのご相談をいただきながら、現場に合う形を一緒に探していきたいと考えています。まずは小さく試して、合うかどうかを一緒に確かめさせてください。
よくある質問
Q身体介助のやり方も録画して残せますか?
本記事でご紹介しているのは、記録ソフトや請求など、パソコンの画面上で完結する操作手順の標準化です。身体に直接ふれる介助そのものは録画の対象として想定していません。介助の手順を共有したい場合は、声かけのポイントや注意点を言葉でまとめる、施設の方針に沿って職員どうしで確認するなど、別の方法と組み合わせてご検討ください。
Q記録システムの画面には個人情報が映りますが、大丈夫ですか?
Flowbaseには、映り込んだ個人情報を自動で検出してマスクする機能があります。ただし検出の精度には限界があるため、共有する前に必ず人の目で最終確認を行ってください。あわせて、施設の個人情報の取り扱い方針や法令に沿って進めること、見られる人を権限で絞ることをおすすめします。
Q文章を書く時間がとりにくいのですが、続けられますか?
画面録画は、ふだんどおりに操作する様子を録るところから始められます。文章を一から書く代わりに、AIが作った下書きを確認して整えるところから取り組めるため、文章を書く時間がとりにくい現場でも始めやすいと考えています。